放送大学

教学 Vision 2027

ひとりひとりに
最適な学びを
放送大学から

放送大学長
岩永 雅也

教学Vision2027
発行にあたって

1983年の開学以来、放送大学は放送メディアを最大限に利用して教養教育を行うユニーク な公開大学として、日本の教育分野でゆるぎない先進的な活動をしてまいりました。その成果はこれまでの在学生延べ170万人以上、卒業・修了生延べ約12万人という他に類を見ない実績に結実しております。しかし一方で、従来の教育活動を展開する間に、大学を取り巻く社会状況や技術的環境は著しい変化を遂げました。その結果として、現在の本学は開学初期のようなユニークさや先進性を謳うことが必ずしもできなくなっています。今日の社会変化や技術的進歩をキャッチアップして、放送大学の教育をよりいっそう効果的で学習者ひとりひとりに最適なものとすべく、そのための改革プランをまとめ、“教学Vision2027"としてここに宣言するものです。

基本理念と
社会的使命(ミッション)

基本理念
ひとりひとりに
最適な学びを放送大学から
社会的使命
  • ① 人生100年時代における生涯学習を広汎かつ多様に支援する
    教育方法のイノベーションによって、学びの場を求めるすべての人々に利便性の高い多様な教育を提供し、そのQOL(生活の質)の向上に貢献する。
  • ② 職能開発・キャリアップのための多様なリカレント教育機会を提供する
    加速度的に進展する技術革新や刻々と変化する人材需要に対応し得る職業・資格関連科目を質的・量的に充実させ、多様なリカレント教育への要請に応える。
  • ③ 人々に広く学位取得への道を開放する
    若者・成人・高齢者など、あらゆる世代の人々に対し、働きながらあるいは専門的職業教育を受けながら学士等の学位が得られる、より効果的で至便な学習機会を提供する。
  • ④ 学術研究の推進と教育イノベーションにより高等教育の内容的および方法的進歩に寄与する
    国内外の多くの高等教育機関との連携を図りつつ、カリキュラムの改善および教授プロセスのICT 化等を通して、より学びやすく効果的な教育を目指す改革を進める。

社会と時代の要請に
応える教育改革

  1. ①リカレント教育の拡充による学び直し支援
    生涯にわたり知識やスキル(能力)の継続的なアップデートが求められる現代、多様な資格取得に資するリカレント教育の内容と学修証明(クレデンシャル)を充実させつつ、社会の変化に柔軟に対応できる体制を整える。放送大学が有する様々な手段を活用し、適切な環境の構築およびコンテンツへのアクセスを可能にする等、リメディアル科目の制作・提供も含め多様な学び直しを支援する。
  2. ②数理・データサイエンス・AI関連の教育強化
    数理・データサイエンス・AI分野の教育に対する社会的ニーズが今日ますます増大していることを踏まえ、放送大学学生のみならず他大学学生、社会人にも同分野での学習機会を提供する。そのために学外の研究者、研究・教育機関等とも連携しつつ教材を作成し、さらに、その教材を活用した授業科目を制作し、また、必要に応じ他大学が制作した教材等も利用しながら、同分野の教育を体系的に行うための体制を整える。
  3. ③カリキュラム体系の再構築および
    科目制作方法の改革
    基本理念および社会的使命に即してより適切なカリキュラム体系の構築を目指す。また、多様なメディアで高品質な番組を提供するため、従来の科目制作方式に加えて、コースチーム制やコンテンツのネット展開、生涯学習支援番組の正規科目化等、より柔軟な制作システムを導入する。さらに、コンテンツのアーカイブ化による素材の有効利用やクラウドでの制作管理等により制作のDXを推進する。その際、障害者への配慮を常に念頭に置く。

教育DXの推進と
デジタルデバイドの解消

  1. ④ニーズに応じたメディア授業の拡充と多様化
    学習者や社会のニーズを的確に把握し、技術の進展や個に応じた適切な学習機会を提供する。この目的を達成するため、従来の放送授業や面接授業に加え、講義・教材・課題等を重層的に組み合わせることで教育効果の高い授業設計を行い、学生にとっての利便性も高いオンライン授業や同時双方向Web授業等のメディア授業の拡充を進める。また、その進展を見据えて卒業要件の見直しを図る。
  2. ⑤単位認定試験のIBT化による
    科目受講の柔軟化
    単位認定試験に関して、受験会場が学習センターと定められ科目ごとの日時が指定されているという制約を解消するため、適切なIBTの導入を図る。これによりネット接続環境があればどこからでも受験でき、受験日時にも柔軟性を持たせられるよう利便性が向上する。IBTには、適切な不正防止機能を整備して試験としての信頼性を維持する。そのうえで、諸事情によりIBTへの対応が困難な学生を支援するための制度も導入する。
  3. ⑥デジタルデバイドの解消推進
    情報機器と情報リテラシーは、現代の生活の質を高め、学びの実現にも必要な条件になっている。このことを踏まえ、多様性・公正性・包摂性の観点から高齢者や障害者を含む全ての学生にとって最適な学習環境が提供できるよう先端的技術を導入し、さまざまな社会的格差の解消にDX の成果を活用する。また、BYOD(Bring Your Own Device)の推奨を検討することも含め、デジタルデバイドを解消する情報教育を推進するとともに支援する人材を育成する。

研究する大学としての
機能の充実

  1. ⑦研究者および大学院教育のための
    研究環境整備
    将来を担う研究者が学内外で学術的に広く活躍できるよう、研究費や研究研修の支援を行い、教育研究活動委員会を設置して、放送大学の環境を活かした研究活動のさらなる発展を図る。また、修士課程、博士後期課程教育の一層の充実のため、オンラインジャーナルの刊行やシンポジウムの開催等、研究成果の新たな発表の場を提供する。これらの施策を通じて様々な専門分野間の学術的交流を促し、研究活動の持続的発展を図る。
  2. ⑧メディア教育研究開発機能の充実
    メディア教育はわが国の高等教育にとって重要課題の一つである。放送大学はその分野のリーダーとして「メディア教育研究開発センター(仮称)」を創設する。このセンターでは、放送大学の教授形態の多様性と諸特性を踏まえたメディア教育の研究・開発を行うと同時に、先駆的な実験授業の企画・制作を一貫して担当する。また、内外の研究機関と技術的、人的交流のネットワークを形成し、新しい遠隔高等教育のあり方を研究開発する。
  3. ⑨IRの組織的体系化による
    教育調査研究の質向上
    多様な学生の個に応じた学習環境の提供を目的として、教務データ、学習履歴データの管理・解析および各種調査の実施とデータの分析を担うIR 室を創設する。そこで得られたデータと分析結果をもとに、学生の生涯学習力を涵養するほか、従来散発的に行われてきた各種アンケートを見直し、放送大学に適した入学時および卒業時調査を新たに開発・実施する。それにより、現状を正しく把握して、将来の教育体系見直しの指針を作成するための基礎とする。

連携機能の充実と
社会貢献

  1. ⑩学び合いと地域連携の場としての学習センター
    通信制の放送大学においても、学習センターというキャンパスを全国に有していることで対面の指導や学生同士の学び合いの機会が保証されている。従来型の面接授業を提供し続けることによって学びの拠点としての学習センターの特性を最大限発揮するとともに、放送大学での新たな学修推進のために必要な学生支援を積極的に行う。また、他教育機関や自治体と放送大学をつなぐ要としての役割を担いつつ、地域社会への情報の発信に努める。
  2. ⑪他大学等との連携・単位互換方式の推進
    大学等の連携を促進する高等教育施策を受け、他大学等との連携をさらに進める先導的取り組みを行う。放送大学の特徴や利点を活かした科目の共同設置や他大学の不足科目の補填・相互乗り入れ、放送大学の取得単位による大学学部編入制度の活用や、専修学校のダブルスクールの促進等、高等教育制度全体を補完する受け皿として積極的な役割や機能を担う。高大接続の観点から、高校教育との連携を視野に入れた教育活動を展開する。
  3. ⑫国際化と社会貢献
    在外邦人や高度な日本語能力を有する外国人等、海外からの学生を受け入れるとともに、日本での就学就労をめざす国内外の外国人に教育の機会を提供する。また、国内外の関係機関と連携しグローバルな観点から 教育の質保証を推進する。さらに、国連のSDGs がめざすグローバル生涯学習社会の成立およびカーボンニュートラル等の持続的発展が可能となる社会に向け、大学間連携・産学連携・国際連携の推進によって社会に貢献する。